引き続く 

今日のメモ。
紅葉やっぱり孤児院育ちじゃないかなって。で、女性同士のカップルに引き取られて育てられた。近所に住んでた宮菜夫妻は、男手が必要になることもあるでしょって時々手伝ったりしてた。実際男の子育てるのに分からないこともあって、宮菜夫に聞いたり朔良ちゃんに聞いたりとかしていた。朔良兄もたぶん遊んだりはしてたけど、弟できたみたいで嬉しかった朔良の方が構いまくってお兄ちゃんぶってたんじゃないかなって…
紅葉から見て女性二人は母親二人っていう形だけど、戸籍上は母と姉にあたる、三人の血は当然繋がっていない。本人たちが呼びやすいように呼んでいいって言ってるから、母さんと呼んだことはなくて名前で呼んでる。
……って考えていたけど、実際のとここういうのってどれくらい可能なんだろうかって考えてしまって決めきれずにいる。別に現代日本が舞台なわけではないから現代日本の法律に縛られる必要もないんだけど、というかそもそも法的に云々より、実際そういう暮らしをしている方たちがどういう感覚で生きているのかの方が個人的には興味ある。人それぞれだとは思うんだけど。
でもそんな境遇だったらなおさら朔良は紅葉に対して返事渋るんじゃないかな… 否定することもできないしする気もないけどすぐに頷くには迷いが多い、っていう。朔良兄は若干偏見持ってるだろうかってちらっと思ったけど、多分この家族でならいずれ解消はされるんじゃないかと思う。(どのみちそういうシーンは書きたくない)
これレナ側の話だったら育ての親だ!血の繋がりなんてないよ!ってさらっといけるんだけど、やっぱり現代(って言ってるだけではあるけど)側の話になると迷ってしまうな……

それにしても自分の中の創作構想捗るターンが雲錦→隼雪荘→カンナ君たち、辺りのループになってる気がして、Enとアナザ……って気持ちにはたまになる。新しく考えることが少ないから仕方ないにせよ。考えてる最中って楽しいんだよね。

そして雲錦物語のメモ見つけたよーーー 見たはずのページを完全に見落としていた。創作全般雑多の方。
まあタイトルしか書いてないんだけどな。

もそもそと 

ちぇすの家族構成と年齢差を、そういえばアナログでしかメモしてないぞって思って打ち込んでた。
PC内のファイル構成がもうぐっちゃぐちゃで、創作設定のメモをどこに置いたらいいのかが分からない…
一回気合い入れてフォルダ構成まるっと変えて整理したい。絶対ごちゃつく。
こういう時のwikiか…………… なんか、ツールを上手く使いこなせないってこういう時不便だなっていつも思う。

で、昔の設定メモだから当然紅葉のこと載ってなくて、どこに入れたもんかなーって考えつつ、朔良ちゃんがちぇすメンの入学と一緒に新米教師として赴任してきたって書いてあって(自分で書いてる)、マジすかーーーってなっていた。それつまり紅葉も一緒に入学してるやん……いいんかそれ……みたいな。一緒には駄目じゃないかなってかそんな上手くいくんかなってなって、じゃあ高2で転校してくればいいのでは、って結論付けたけどそれはそれで………いいのか………
紅葉の視野の狭さとか、安直さとか、そういうとこ朔良ちゃんは不安視してるんだなーとすごく客観的に思ったりした。でも多分高校卒業したくらいにはもうちょっとまともになってると思う。気がする。高校の間は多分朔良ちゃんのことと流衣のこと引き摺ってると思う。

で、紅葉の家族構成ってどんなだってのが想像できなくて迷ってる。きょうだいいそうな気もするし一人っ子っぽい気もするし、そもそも家族………?なんだけど、そこまで複雑にしすぎたくはない。朔良ちゃんとは10歳差でそれで幼馴染みってことは親同士が大分仲良いんだろうなってのが個人的には理想。で、兄弟みたいに育つ的な… って打ちながらそういえば朔良ちゃんの兄のことってどこにメモしてるんだって捜索の旅に出ていたし見つかってない。あと雲錦物語って言葉どっかに書いてるはずなんだけどどこだ………
決まり切らないまま時間切れ!
どっちかって言うと峡やんと紅葉のやり取りが今は書きたい。

(追記)
時間切れとは何だったのか。

現代の朔良って男なんですけど、女名っぽくしたくて付けたんですよ。
だから逆に兄貴は男らしい名前にしたくて孝太郎(笑)
(2009/10/19)


11:今後、オリキャラが増える予定はありますか?
胡蝶のメンバーが入ってくる可能性はありかと…。
メインメンバーが増える事はないです。脇役程度に何人かは出てきそうですが。
予定では、咲良の同僚、彼女を出したい、とか。
(2008/05/27)


兄弟ネタ見つけたついでに発掘した。何を言っているんだろう感がすごい(元々そういう予定だった)

13年だってさ+カンナ君のこと 

カンナ君のことってどこでどこまで書いたっけ誰かに言ったことあったっけ……って全く覚えていないしメモも少ないのでちょっと書き出してみる…
の前にうっかりサイトが13周年迎えましたよびっくりだね!全然動いてなくてなんかもう……別荘みたいな(?)
小話書いてもブログで済ませてしまうからサイトのコンテンツが全く動きませんね。。
のんびり(私が)遊べる場所としてこれからも置いておくよ! html触るのは楽しいんだ。


大和カンナ
家族構成は両親(荘太郎、柳)と母方の祖父母で祖父母は黒思考全開な人たち。大和は母方の姓。
基本的に両親と三人暮らしで、時々祖父母とは会う感じ。カンナ自身はあまり身近には感じていなかった。
姓が母方のものなのは、父親が婿養子だからというのもあるけど父親が姓を隠していたからでもある。
祖父母は荘太郎のことをあまり良く思っていなかったものの、柳が強く押したので結婚を認めた。という経緯がある。
(※実際は婚姻関係にはない)
幼少時は柳によって髪をずっと黒く染められていた。というのも、柳も荘太郎も黒髪なのに二人の間に生まれたカンナだけ金髪で、あっこれなんかめっちゃ何か隠されてるって気付いた柳が、祖父母に勘付かれないように取り計らったため。柳は大体いつも荘太郎のことを庇ってる。
カンナは両親のことは普通に好きだったけど、父親が家にいる時間が妙に少ないことは気に掛かっていた。週の半分以上は家にいなかったから。その理由は今になっても分かっていないし、知る術もない。
なので母親のことは大好きだけど、父親のことはよく分からない、というのが正直なところ。
玉子焼き食べてたのはこの辺りの頃。同じ味は柳も荘太郎もどっちも作れる。実は。
そんなある日、珍しく三人で散歩していたら、突然見知らぬ女が現れて両親が殺された。自分も殺されかけたけど、母親が庇ってくれた。血の海の中で女の顔が酷く歪んでいたことを覚えている。次に覚えているのはその女も同じ血の海に崩れ落ちたこと。祖父が撃ち殺したのだ。
それ以来、酷く臆病な性格になり銃声が極端に苦手になる。
祖父母に引き取られて育てられるものの、髪の色がバレたり柳として扱われたりでなんやらかんやらでいい思い出がない。
結局髪はずっと染め(られ)たまま。そういうものだと思ってはいたけど、なんか変だなあとは思いつつあった。父親のことはよく分からないでいたけど、存在を無視する勢いで祖父母は母親の話しかしなかったから自分だけでも父親のことを覚えていようって思っていたら案外好きになれたような気がするし、もっと知ろうとしてればよかったなあってぼんやり考えてる。
でもなんだかんだ祖父母だって家族なのであまり悪くは思えなくて、表面上は話を合わせて過ごしてて、小さい頃の思い出は重しを乗せたみたいに奥底に閉まって忘れてしまおうとさえしていた。フリのつもりなんだけど、時々本当に忘れそうになって怖くなる。
高校に入る直前、家の周辺が戦闘に巻き込まれて祖父母も命を落とす。完全にひとりになってしまったカンナは入学予定だった学校には入らず(そもそも戦闘に負けて廃校一直線だったのもある)寮を備えた学校へと入学することになる。
それから先は家族のことを極力思い出さないようにしようと記憶の重しを思い切り増やした。
戦闘は怖いけど学校は楽しい。
とかそんな感じ。打ちながらこれどっかに書いてそうだぞってデジャビュ感じだけどそれがどこだかが思い出せないよ!
合間にあづ子さんと遭遇してたりするエピソードあるけど省略。
自分の家族のことについて知る術はないと言ったけど、あづやロイと出会うことがあればもうちょっと知る範囲は増えるよ。
がくせんはIFルートが多くなりすぎてまとまらないことが多いんだけど、基本というか自創作ルートなら高校卒業前にロイに会って話聞いてロイとは別ルートでレジスタンスやるよ。そんで志半ばで命落としてサイザルートだよ(?)
お話で書きたい気もしてたけどまとまりきらなくて停滞して2年?3年?くらい経つのだ………まじかよ。

「続・玉子焼きの話」 

+++++

 大和カンナはぽつんと一人きりで、台所に立っていた。
 男子寮内にある、共同の台所だ。相変わらずここは小さくて、ほとんどお湯を沸かすことにしか使われていない―――と思われている。実際は、料理好きの生徒がやってきては、気紛れに、最低限の道具だけで調理を行っている。それをカンナが知ったのは、二年生に上がる少し前のことだ。最初にこの場所に足を踏み入れて以来、一度も覗いたことはなかった。
 カンナは手にしたままだった買い物袋を作業台に置き、慎重に中身を取り出した。袋の中にあったのは、四個入りパックの生玉子。それに粉末のかつおだし。もしかしたらこれかもしれない、という直感だけでカゴに入れたものだから、必要なのは玉子だけだったかもしれない。空っぽになったビニール袋は、微かな風にカサカサと音を立てている。
 袋をざっくり四つ折りにして、ひとまず玉子のパックを上に置く。棚から大小のボウルを二つ、四角いフライパンを一つ、それに菜箸を取り出して作業台に並べる。少し迷ってフライ返しも取り出した。持ち手部分が少し変形しているが、使う分には問題ないだろう。四角いフライパンは、先日他の人が料理をしている様子を眺めていて知ったものだ。確かにこれなら四角い玉子焼きが作れると、カンナは感動を覚えたのだ。
 玉子焼き。自分では決して作れないだろうと思っていた料理。今日の朝目が覚める直前に、熱々の玉子焼きを頬張る夢を見てしまった。味どころか香りやその熱さまではっきり覚えていて、そうして目の前には―――………それは、思い出せなかった。
 カツン、と、カンナは玉子を一つ、大きい方のボウルの端にぶつけた。刃物で肉を裂くよりも簡単に、あっさりと手の中へと伝わる衝撃に、ドキリとする。おそるおそる覗き込めば、白い玉子の殻にはまっすぐ、そしてぐしゃぐしゃにヒビが入っている。薄く白身は滲み出しているが、幸いまだ、溢れだしてはいなかった。ほっとし、ゆっくりヒビに両手の親指を添えて、剥がれ落ちそうな殻に注意を払って、静かにヒビの隙間を開いた。
 誰かに見られていたら、なんの化学実験だと揶揄されそうなほど真剣な目と手付きだっただろう。実際、カンナにとってはそれくらいの集中力を要するものだったのだ。何しろ、殻一枚ボウルの中に落ちようものなら、その玉子はもう使い物にはならないと思っていたからだ。集中力が幸いして、ボタン、ボタンと三個の玉子が割り入れられるまで、殻は一枚も玉子の中身に混じることはなかった。流し台の片隅に、すっかり軽くなった殻がころりと転がる。ボウルの中には黄身が滲み出した玉子がふたつ分と、思いの外綺麗に形を留めている玉子がひとつ分。
 これで全ての工程が終わったと言わんばかりに盛大な息を吐き出し、カンナはがっくりと肩を落として俯いた。当然、終わるどころかこれが始まりである。それはカンナ自身よく分かっている。しかしこの工程に一体どれだけ時間が掛かったのか、時計を見るのも躊躇われてしまった。早くしなければ、誰か来てしまいそうだというのに。
 小さい方のボウルを大きいボウルの隣に置き、カンナはしばらくそれを睨み付けた。正確には考え込んでいるのだが、真剣な目付きではボウルと敵対しているように見られても仕方がない。しかしすぐに、まるで根負けしたかのように目を逸らしてから、カンナは砂糖の入った袋を手に取った。計量スプーンというものが存在していることは知っているが、残念ながらそれを使ってどれくらいの量を量ればいいのかは分からなかった。
 粉末のかつおだしは小袋入りのものだが、これの全てを使うわけではないだろう。裏面に書いてある豚汁の作り方を見ながら、そんな勝手な想像をする。豚汁だったらこの通りに作ればいいのかとふむふむ頷き、おそらくすぐに頭の中からは消えてしまうであろうレシピを斜め読みした。600mlの水またはお湯に小袋半分を入れて下さい、だそうだ。四人分、きっと縁のない数字。ああでも、覚えているのは、五人か―――………パタリと手を止めた途端震えだした指先を無視しようと、カンナは小袋の端を破りきった。
 パラパラと数振りの粉末だしをボウルに入れ、小さいスプーンで二杯すくった砂糖も足す。多すぎない、はずだ。多分、きっと。スプーンに付いた砂糖を少し舐め取ってみても、ただ甘いだけだった。それを確認してから、小さいボウルの中身をそっと大きいボウルの中へと流し込む。
 菜箸を手に取り、黄身を潰すようにぐちゃぐちゃにボウルの中身を掻き混ぜる。混ぜて、混ぜて、混ぜて、全体が黄色になっていくのをまるで遠くから傍観しているように眺める。じゃりじゃりとした音がだんだん小さくなっていき、まばらに浮かんでいた茶色の粉も姿が黄色に紛れていく。白身はともかく全体が均一に混ざったように見えて、カンナはもう一度深く息を吐き出した。これでようやくスタートラインだった。
「これを、焼かないと」
 キッと睨み付けた先は四角いフライパンだ。あとはこれにボウルの中身を流し込んで、焼いて、ひっくり返して、丸めて、そうしたら出来上がるはずだ。頭の中で工程を想像して、カンナは意を決してフライパンに手を伸ばした―――


 結果は惨敗だ。敗因は、分からない。
 玉子を流し込んで火を付けて、それから端の方からフライ返しでひっくり返せば、くるくると玉子は丸まっていくのだと思っていた。しかし現実は、ゆるゆると波立つ固まっていない玉子が掻き分けても掻き分けても流れ出してきて、ひっくり返そうと差し込んだフライ返しは、滑って何も持ち上げることができなかった。その内じりじりと香ばしい臭いが鼻に届くようになり、やがて香ばしいなどと脳天気に言っていられる場合でもなくなり、どろどろだと思っていた上部はいつの間にか固まってしまっていた。
 フライパンと玉子の隙間から煙のようなものが見えた気がして、カンナは降参してコンロの火を消した。
 コンロに置き去りにされたフライパンを呆然と見つめ、カンナは立ちすくんでいた。触れてはいけないと主張するかのような熱を発するフライパンに、手を伸ばすこともできなかった。表面上だけは、玉子焼きも一緒に置き去りにされたように見えていた。
 じりじりじりという音がしなくなったフライパンにもう一度フライ返しを差し込むと、今度はガリッと硬いものに当たるような感触を覚える。明らかに自分の知っている玉子焼きとは違う感触に眉を顰め、カンナは暫定・玉子焼きを力任せに掬い上げた。
 持ち上がったのは真っ黒になった裏面を持つ、黄色かったはずの物体だった。
「………やっぱり、無理だよね」
 吐き出した声は少し震えていて、笑おうとした顔は微かに歪んでいた。手に握ったままだったフライ返しをぎゅっと握り込んで、カンナは数秒の間俯いていた。フライパンがずしりと重たくなったような気がした。
 『自分の好きな』玉子焼きが食べたい、それだけだというのに。
 作り方を聞けなかった、聞こうと思い付く前に聞くことができなくなってしまった。そう気付いたのは、不意に玉子焼きが食べたいと思ってしまった、些細な夢のせいだ。自分では作れないと思って諦めたつもりだったというのに、またこうして夢を見てしまった。
 フライパンに焦げ付いた玉子だったものを無理矢理剥がし取り、玉子の殻と一緒にビニール袋に放り込む。焦げていない部分を少しつまんで口に入れてみれば、甘じょっぱい玉子の味が口の中に広がった。想像していたものとは違う味だった。
 ボウルと菜箸を洗い、フライパンとフライ返しは水に浸し、余っていた玉子は「ご自由にお使い下さい」というメモ書きと一緒に冷蔵庫の中へと入れた。粉末だしにも同じことを書いたメモを貼り付け、棚の見える位置に置いた。きっと誰かが豚汁か何かを作ってくれるだろう。
 最後に残った、口を結んだビニール袋に視線を向けて、カンナは小さく息を飲んだ。そうして、首を振る。
「ごめんなさい………」
 誰に宛てているのかも分からない言葉が、ぽつりと零れ落ちた。


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「玉子焼きの話」の続き?のようなもの。
玉子の割り方を覚えたカンナ君がリベンジしたかった話。
『おそらく最後』にはならないこともあると思ったから………けど焼けるところまではせめて進歩して欲しい。

【TTSS】「予言或いは遊戯」 

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「はーやと君」
 軽快な声と共に降ってくるのは、鋭利な殺気と氷の雨だった。比喩でもなんでもない、仮に例えるとしたら針の雨だろう。音もなく降りしきる雨は、次々と地面に突き刺さって消えていった。声が聞こえるよりも前に後退していた隼人には、一本たりとも刺さらなかった。
「なんだ、つまらない。全部外れかな?」
「外れだ。用がないなら帰れ」
 そうは言わずにさ、とビルの影、路地裏の隙間から現れたのは、さらりとした白髪を揺らす長身痩躯な男だった。自身の背丈ほどはある棒を背に、声と違わない笑顔と軽い足取りで近付いてくる。ただしその目は少しも笑ってはいなかった。
 ぴたりと足を止めたのは、隼人から十歩ほど離れた場所だ。首を傾げてにこりと笑った男は、真っ直ぐ隼人へと凍て付いた視線を投げ付けた。
「いい話といい話、どっちから聞きたい?」
 極々短い導火線に火を付ける心地を覚えながら、隼人は男を睨み付けた。何の手応えもないということは分かりきっていたが、そうでもしなければ導火線など無いも同然だ。頭の中では九割以上、腰に手を伸ばしている。
「聞く意味が分からない。どうせ悪い話の二つ三つ押し付けに来たんだろう」
「まあ俺にとっての『いい話』が隼人君にとっての『悪い話』っていう可能性は否定しないかな」
 目を細めて首を傾ける男の表情は、平穏な街中であれば人好きのするものだったかもしれない。少しでも裏の世界を覗いたものであれば、竦み上がるような気味の悪い予感を覚えるだろう。慣れきってしまった隼人にとっては、ただただ苛立ちを覚えるものとなっていた。武器を手に取らないまま最後まで聞いてやった自分を褒めてやりたいが、とっとと撃ち殺さなかったことを責め立ててもいる。
 コツン、と石造りの道に棒が突き立てられる。
「ひとつ、俺の弟子が君の息子と遭遇したみたいだ」
 じと、とあからさまに様子を窺う目が疎ましい。男の作り物の青い瞳は、「さあどうだ?どうだ?」と問い詰めるように隼人を眺めていた。あの両目を撃ち抜ければどれだけ気が晴れるだろうかと思案して、しかし悔しいことにこいつの話を聞かなければならない状態へとなっていた。
「それがどうした。干渉しないんじゃなかったのか」
「干渉はしてないよ。様子を時々覗いているだけ。君だって気に掛けているだろ? だから」
 パァン、と、空を切り裂く音を奏でた。
 一発の銃声に、表通りの空気がいくらかざわついた。ざわついて、すぐに雑踏へと紛れていく。負傷者はいない、銃弾も残らない。男の白髪が僅かに揺れた、それだけだった。男の背後の空間に白く亀裂が入ったのが見え、この空間が表通りからは遮断されているのだと気付かされた。
「久しぶりの俺の勝ちかな?」
「次は当てる。その前に用件を言え」
 冷え切った声に、男はようやく満足したように笑って見せた。人の神経を逆撫ですることが趣味だと公言しているかのような態度が、どこまでも気に食わない。空間に走った亀裂はいつの間にか消えていて、何事もなかったと言わんばかりに平穏な表通りの景色が映っている。
「ふたつ、邪神様はどうやらとっくに目覚めていたようだ」
 男の笑顔とは裏腹に、ぞくりと背筋を冷たいものが落ちていった。氷なんて生温いものじゃない、光の一切届かない深い闇、そこから伸ばされた手に掴まれたような、連れ去られたかのような悪寒だ。そしてこれは自分自身の感覚ではない、一番案じていた者の感覚だ。
「どちらにせよ、俺にも君にもできることはもうない。待つだけだ」
「仕組んだのはどこのどいつだ」
「俺だって言いたいならそう思っててもいいけど、俺を叩いたって埃は出ないよ。原因は知ってるけど、それだって元凶じゃあない。全部を潰したいなら、世界を潰すことかな」
 つらつらと迷いなく吐き出される言葉を、否定することができなかった。腹が立つ以外の何物でもないこいつが、嘘を吐くことがないのもまた事実なのだ。まるで先見の目でも持ち合わせているかのように、一歩先で振り返って笑う。だから、こいつを殺すことができないのだ。
「用が済んだならとっとと消えろ」
「そうさせてもらうよ。君のその顔が見れて俺は満足だ」
 男が言い終わるや否や、ガシャンとガラスが割れる音が路地裏に響いた。景色が崩れ、しかしその後ろには同じ景色がまた続いている。砕け散ったガラスは地面に落ち、そして消えていった。降りしきった針の雨と同じように。
 立ち尽くしていた隼人の目の前には、もう男の姿は見当たらなかった。


+++++


40分?くらい。
隼人と季雪のやり取りを考えているとテンションが上がる。

TTSS連日やってた頃って文章書き慣れてた気がしてたんだけど、さっきいくつか読み返してたら今と文章すごく違うな?!ってなって、年月って怖いなーって思ったのでした。
練習というかリハビリちょっとずつでもしたいぞ…
あといい加減隼雪荘の設定まとめとかないと二転三転しすぎてる。

「Re.」 


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E473.10.04.

 生まれた時のことなんてもちろん、覚えているわけがなかった。
 ああだった、こうだったと聞かされて、確かにそうだった、と勝手に記憶されているだけで。
 生まれ落ちた時、俺はきょとんとした目で放り出された世界を見つめ、泣くことも分からないまま、泣きそうな二つの顔を見つめていた。理由は、その時には分からなかった。
 数分間のまるで深海にでも閉じ込められたかのような静寂の後、俺は思い出したように大声で泣き始めた。泣きそうだった顔からも暗いものが消えて、それでも泣きそうで、泣きだしたことは変わらなかった。
 そこからやっと、俺の世界が始まった。
 数年間は、何の変哲もない暮らしだったはずだ。木々に囲まれてぽつんと建った家でのんびりと自由に育って。覚えていないことも、気付かなかったことも山程あるだろうが、その辺りはもう分からない。
 変わったのは、離れたところに住んでいたという祖母が死んだことと、妹ができたこと。その時からだった。

「生まれるべきじゃなかった。ってことは理解してる。じゃなきゃ、こんな歪んだことにはなってない」
 笑ってそう言ったつもりだったけれど、笑えていたんだろうか。随分と長く拘束されてしまっているけども、俺にとっては充分、笑い話だった。顔を上げれば、困った顔で口を開きもせずに瞳を揺らす姿が見える。あーこれは一応言葉を探してる顔だと分かるけどそんな顔をさせたくて言ったわけじゃなかった。
「俺がいなくてもこうなった事実は変わらない。いても変わらない。つまり必要はなかったってことだ」
 笑おうとした時に、あからさまに不機嫌に顔が顰められたのが見えた。表情への反論は間に合わなくて、口が開かれる。
「少なくとも俺は、お前に人生を変えられている。迅がいなければ、俺が変わっている」
 まあ、予想通りの返しかな。予想はしてたのにいざ聞くと小っ恥ずかしいにも程がある。
「その時は他の誰かが変えてくれたよ」
「そうだとしても、迅夜という人物に助けられたという事実は変わるだろう」
 居心地悪いったらありゃしない。それにこの話を長く続けるつもりなんてなかった。なんでそんな恥ずかしいこと言えちゃうかな、なんて思ってはみたけれど、多分こいつにそんなこと言っても無意味だと分かっていた。ふわふわと消え入りそうな中身だったくせに、俺と同じくらいに負けず嫌いで頑固だ。こっちが有利だと分かっている口喧嘩以外は正直面倒臭くてやりたくない。
「サイだって祝われるの嫌いなくせに、他人にはよく言うよね」
 溜息吐いて降参だと言わんばかりに手を上げれば、「今は気にならなくなった」だなんて返された。その真顔気に食わない。何歩も後ろにいると思ってたのに、いつの間にか何歩も先を歩いてる。止まっていた足を動かし始めたこいつと、止めてしまった俺、ってことか。なんかそれは、やだな。
「恥ずかしいついでに一回だけ言うが、迅がいてくれて俺は助かった。生まれ」
「やめ!!やめる!!それほんっとに恥ずかしいやつ!!!絶対やめて!」
 言い掛けた言葉だけで何言おうか分かっちゃうからやめたところで意味ないんだけど、ないけどな。音で聞いて堪るかって思ったらがむしゃらに叫んでしまってた。びっくりするよ何言ってんのほんと。
「…分かった」
「調子狂うってほんと…馬鹿なの?」
「馬鹿かもな」
 ほんとやめて欲しい、そういうの。心拍数上がりすぎだよ。ばーか。俺もだけど。

「どっちにしろ、もうしばらくは生きてなきゃなんないし、その後のことは分かんないし、…サイが心配するようなことにはなんないよ」
 いくらか待って落ち着いてきた頃に、そう笑って言ってやった。今度は笑えているはずだと、ちゃんと確信があった。肩の力を抜いて表情を緩めた顔が見えたから、間違いないはずだ。
 もうしばらくがいつまでなのかは分からなかった。一生あっても足りないのかもしれない。けどそれでも、そうだとしても、やらなければいけないことだった。気は遠くはならない。今の所は。
「その調子で」
「んー」
 吹っ切れたわけじゃない。まだ分からない。染みついた記憶の真偽はもう追う術がなくて覆すことなんてできない。ただ、それもまあ悪くはないもんだと、ようやく思い始めてきたところだった。



+++++


E495.10.04.