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「喧嘩する程、っていう」 

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 ふわりと、風に乗って空を漂うものがあった。
 どこからともなく声が聞こえたような気がして空を見上げるのと同時、光麗の目の前に一通の封筒が舞い降りる。ゆっくりと減速したそれは、差し出した光麗の両手の上にふんわりと乗り、そして動きを止めた。
 華美な飾りはないが簡素な落ち着き。丁寧に皺ひとつ無く封をされたそれは、開いてしまうのが勿体ないと思う程である。しかし光麗の元へと舞い降りたという事は、誰かが彼女へと送り届けたものだという事。読まずにいる方が先方に申し訳ないだろう。
 破いてしまわないよう注意を払いながら、ゆっくりと封を切る。


「…えぇっと…、…あぁ!」


 手紙を抱き締めるように胸に当て、光麗はくるくると回りながら笑っていた。小さい花でも周りに飛んでいるのではないかと思わせる程、その表情は明るい笑みに溢れている。風に話しかけてはくすくすと笑い、そしてまた風と共に回る。丁度通りかかった涼潤がぎょっとする程に、光麗は夢中になっていた。
「ど、どうしたの…」
「あっ、涼ちゃん!」
 いてもたってもいられず涼潤が声を掛けると、ふわりと髪を揺らし、まだ余韻を残したまま光麗は動きを止めてそちらに目を向けた。回るのを止めても、表情は変わらず嬉しそうに笑ったままだったし、それどころか、涼潤がやってきた事で更に目の輝きが増えているようでもある。腕に力をぎゅっと込め、手紙をしっかりと抱き締める。
「あのね、涼ちゃん。涼ちゃんは、遊と竜君のこと好き?」
「………は?」
 それはとても素っ頓狂な声だった。
 光麗の言葉の意図が掴めず、ぱちぱちと瞬きを繰り返す涼潤に、光麗の方も予想外だったのかきょとんと首を傾げる。双方共に言葉を発さず、しばらくの静寂が二人の周りを回った。そしてその間に、"当事者"達もやってくる。
「何してんだ二人とも」
 向かい合って立ちすくみ黙り込んだままの少女達を見掛け、遊龍は怪訝そうに声を掛ける。共にやってきたのではないだろうが、同じタイミングで現れた竜神は、何も言わずに三人の様子を伺っていた。こうして森に住む四人が一箇所に集まり。最初に動きを見せたのはやはり光麗だった。
「ちょうどよかったぁ!ね、二人は、お互いのこと好き?」


「「は?」」
 光麗がにっこりと笑って問い掛けると二人の声が重なり、そしてぴたりと空気が止まった。つい先程同じような事を問い掛けられたばかりの涼潤も、持ち直す間もなく再び言葉を失ってしまった。ただただ突拍子のない問いに、その真意が掴めない三人は光麗から何かしらの補足が得られることを待つだけである。しかし当の本人すら、そんな彼らの様子に首を傾げている始末。理由を聞いたところで、光麗の中にその答えはないのかも知れない。
 
「それは無い」
「絶対ない」
 暫しの間を置いて返されたのは、重なった二つの声。ピシッと言い切る二人は、お互いの声にお互いを向いた。
「「誰がこんな奴を」」
 イラッとした表情を隠さない遊龍は竜神を真正面から指差し、面倒臭そうに且つ嫌そうに眉を顰める竜神は遊龍を睨め付ける。途端に止まっていた空気が動き出し、同じようにきょとんと様子を伺っていたのであろう風も歩み出した。風がくるくると回り、遊龍と竜神の周りを回る。涼潤は深く溜息を溢し、対照的に光麗はにっこりと笑った。

 口論が炎と流水を引き起こし、やがて落雷が空を切り裂いても、光麗は嬉しそうにふわりと笑っていた。


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ナグサ(@咲さん宅)からのお手紙お返事が嬉しくて!!つい。
咲さんの絵柄で漫画を妄想する程度には嬉しかったのでした←

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