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【TTSS】お題:通り雨 

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夏特有の強い日射しが降り注いでいた。
空気はまだ澄んでいる方ではあるが、額がじんわりと汗ばんでくるのを感じると、やはり暑いのだと思った。
ルクスは所用を済ませ、役所に戻る所だった。
役所に戻ればまた積み上げられた書類との格闘が待っていると思うと、帰りたくないような、早く帰りたいような、そんな複雑な気持ちになる。
大きく溜息を吐きだし、いつも通りの歩調で歩く。
と、その時、ぽつりと何かが落ちてきた。
「あれ」
なんだろう、そう思う間もなく次々と「それ」は落ち始めてきた。
「うっそ」
慌てて近くの建物の軒下に避難する。
空を見上げると、遠くの空は明るく真っ青に澄み切っているが、いつの間にかこの辺りの上空だけは真っ黒な雲に覆われていた。
日射しに気を取られて全く気が付いていなかった。
ただ、この雲の様子であればすぐに止むだろう。ルクスはそう判断した。
次第に地面を叩きつける音が大きくなる。
あまりの激しさに、頭上の屋根が凄まじい音を立てている。
すぐに止むのか心配になる程の勢いだった。
街に広がっていた熱気はあっという間に消え去り、賑わっていた人々の姿も無くなった。
「参ったなぁ、早く帰りたいのに」
うんざりとした声でそう呟きながら、手に持っていた荷物と衣服を見回す。
幸い、すぐに屋根の下に入る事ができたので被害は少ない。
髪と肩が少ししっとりしているくらいであれば、そのうち乾くだろう。
バシャリと大きな音がして、反射的にルクスは顔を上げた。
どう考えても足音が変化した水音、その発生源はまだ目の前に立っていた。
「あんた…何やってんの」
咄嗟に出てきたのは、そんな呆れた声だった。
ずぶ濡れになったクラロスは、相変わらず表情も変えずにこちらを見ている。
ルクスは少し考え、自分の立つ位置と、屋根の下のスペースを見回した。
それにクラロスの視線を合わせると、案外あっさりと答えが出てきた。
「雨宿りしようと思ったら先客がいた、って所?」
クラロスは答えなかった。
だが面白くなさそうにぷいと顔を背けたので、それだけでルクスには図星だと確信できるのだった。
「馬鹿じゃないの。風邪引くでしょ。…それとも、馬鹿だから風邪引かない?」
わざと挑発するように言いながら、立つ位置を変える。
屋根の下の真ん中にもう二人は入れそうなスペースがあるのだから、これなら文句はないだろう。
そう思ってクラロスを見た。
つまらなさそうに、渋々と言った風の顔が、こちらに歩みを進めているのが見えた。


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15分。
呉葉さんに頂いたお題で「通り雨」。
最近の自分とこの天候の所為で茹だるような夏って書こうとしたけどシャオクはそんな暑い大陸ではなかった。
田舎の夏とかそんな感じなのかな…
クラは面倒臭いだけで別にルクスの事が嫌いな訳ではないです。

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