スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「ある日の白の物語」 

まー、相変わらず突発的な事が好きな柑那さんです。
新年一発目の日記は小話が書きたかった。
そんな内容。
妙なの綴ってますが(苦笑)今年もこいつらと頑張っていきます。

続きよりどうぞ。



+++++


白い、世界 ―――





「雪?」

 見たことの無い白の雨は、視界をひたすらに染め上げていた。
 その存在を知らなかった者、名を知らなかった者、姿を知らなかった者と知る者は、それぞれに空を見上げた。

「寒いと思ったら」

 涼潤はそっと呟く。肩に静かに乗る粉雪を手で払い、懐かしそうにそれを見た。

「オレ、雪って初めて見た」
「光もー」

 雨とは違う白いものに、少なからず彼らの心は弾んでいる。
 積雪どれだけ…なんてはならないのだろうけれど、地面はうっすらと白くなっている。

「雪なんてな、初めて見る時だけだぜ。喜べるの」

 溜息混じりに呟くのは霧氷で。苦笑を浮かべる涼潤は、そうねと返す。因みに竜神は寒いと身を縮めながら寝ている。

「霧氷さんのとこって雪降ってたんですか?」

 疑問符を浮かべる遊龍に、そりゃもう、と霧氷はさらに溜息を零す。

「降るも何も、豪雪地帯だぜ。まぁ、スイワの方だけど」

 あぁ、と納得。スイワは大陸の中でも最北端である。彼はそこで10年ほど暮らしていた。確かに毎年の大量の雪は飽きが来るのだろう。

「雪………?」

 そこに混じるは、先程の遊龍よりも疑問符を浮かべる声。それは明らかに、初めて見た感動…なんてものではなかった。

「…もしかして、雪知らない…?」

 流黄が峻の顔を覗き込むと、彼は静かに頷いた。その返事に辺りが注目し、そして一斉に衝撃が走る。

「え、知らないの?!雪ってのも初めて聞いたの?!」

 過剰反応な光麗はキョトンとした表情の峻に質問を浴びせる。責めるような言い方に彼も一瞬たじろぐが、知らないものは知らないと開き直って頷く。
 彼の生まれはイオで、確かに雪は降らない地域ではある。同じイオ生まれの真鈴も、雪は初めて見たと言っていた。が、一応存在は知っていた。

「お前ってさ、変なとこ無知だよな」
「悪かったな」

 遊龍の言葉に峻はふて腐れたかのように返した。その様子に流黄は思わず失笑してしまった。

「積もったら遊べるのになー」
「ねー!」

 光麗と烈斗の意見は同調する。まるで犬だ。雪を見ながら走り回るし、話始めてもウロウロろしながら落ち着きが無い。話題がころころ変わる様子に、彼らを見る周囲の目はまるで保護者だ。

「雪合戦したいよな!」
「したいしたい!やってみたいなぁ」

 話が盛り上がっている。雪が積もればきっとすぐにでも雪遊びを始めるのだろう。

「前言撤回。子供のうちなら大雪でも楽しめるわ」

 あまりのはしゃぎ様に、周囲も笑うしか無い。これではホントに保護者か、もしくは兄や姉の目になってしまう。

「おっもしろいぜ!雪ん中にボム入れとくの!」
「そうなの?!」
「そうそう。で、思いっ切り相手目掛けて投げ付けてー…」
「うんうん」
「あ、てかあれじゃん!こーちゃんの風使ったら最強じゃん!めっちゃ超速球投げられるよ!」
「そうなの?!わ、楽しそー!」
「や、それ何かいろいろ間違ってるから」

 やっと入った冷静なツッコミにも耳を貸さず、2人の話は加速しているように見えた。やれやれ、と涼潤は肩を竦め。

「ま、烈なら真剣雪合戦好きそうだって分かるけどねぇ」
「あれが普通だって教えたら光も真剣にやりそうだよな…」

 保護者たちはもう呆れ顔だ。その割に真鈴は、どこか楽しそうに見つめているが。

「あたしらが真剣に雪合戦やったら、きっと殺り合いになりそうよね」

 笑みを込めながら涼潤がそう言うと、辺りがほんの一瞬だけ凍り、そしてすぐまた笑いの空間に変わった。ただしどこかぎこちない。

「私、勝つ自信あるよ」

 そう呟くのは流黄で。そしてその発言は笑いとも敵意とも取れぬいびつな空気を生み出した。

「この場合流黄は見学だよな」
「何言ってんの。雪とか、私得意分野よ」
「だから見学なんだって」

 冷気を操る流黄の異名は雪女、だ。雪合戦なんてもの、結果は見えている。
 積もらぬ雪の中で妙に張り合っている遊龍と流黄を横目に、雪の存在自体を知らなかった峻は残りのメンバーに“雪合戦”の説明を受けていた。

「つまり、雪で作った球をぶつけるだけの…勝負?」
「そう。ただ相手に向かって投げ付けるだけ」

 単純な事よ、と真鈴は簡単に説明をする。それ以外に説明はない。周りが付け足すような事もなかった。本当に、それだけ。――のハズだった。

「じゃあ、勝敗はどうやって決まるんだ?」

 それは確かに納得のいく問いで、その場にいる誰もが答えを用意していない問いだった。

「勝負の着かない合戦なのか?」
「や…そういうワケじゃないと………思うんだけど…?」

 相手をしていた真鈴が助けを求めた。もちろん1つの答えが出てくるわけではない。周囲が一斉に自分の考えを発言する。まるで討論会だ。

「沢山ぶつけた方じゃねーの?」と遊龍。
「でもそれじゃズルが出来るわ。降参するまでとか」と涼潤。
「それも我慢してりゃ延々だろ。分かり易く気絶するまでってのはどーだ?」と霧氷。
「野蛮ねぇ。最初に作る球数を決めておいて、先に無くなった方の勝ちとか」と真鈴。
「や、それ勝負になんない。相手の陣地に入った方が勝ちって方が分かりやすい」と雨亜。
「…結局どれなんだ」

 まとまらない意見の嵐に、峻は困惑と呆れの色を浮かべる。戻って来た烈斗と光麗も加わり、討論会はまだ続いた。

「じゃあ間を取って、僕がルールを決めようか」

 割って入ったにこやかな声に、全員が声の主に目を向ける。一体何処から現れたのか、そこには閑祈が立っていた。

「間じゃねーだろ」

 ぼそりと呟く遊龍の声を無視して、閑祈はさらに続けた。

「まずチームを2つに分ける。まぁ、人数多かったら3つでも良いけど。それで各々陣地を決めて、そこに何でもいいから宝を置く。他のチームの宝を全部取ったチームが勝ち。これでどう?」
「どうって言われても別に…」
「くだらないわ」
「てかオレが言ったのと似てんじゃん」

 軽く批難が飛ぶ中、雨亜の発言に対して、ノンノンと閑祈は指を振る。

「相手チームには宝が何か分からないんだよ。隠しても良し、ダミーもあり。持ち出すのだけは禁止」
「どれが宝か分からなかったらズル出来んじゃん」
「そうだねぇ…本物には何か術をかけておこうか。取ったら分かるように」
「お前が居なかったら出来ねぇだろそのルール!」
「小さい事は気にしない」

 突発的な意見で非難を浴びつつ、閑祈は相も変わらずにこやかなままだ。

「てか、雪積もってからそういう話しろよ」

 割り込んだ声は、明らかに機嫌が悪い。そりゃそうだ、寝起きの彼はいつもこんな調子なのだ。

「あ、起きたんだ」

 ぶっすぅ、とした竜神にサラっと涼潤は声をかける。先程の彼の発言への返事はない。

「まーそうだよな。この辺で雪なんて積もったら異常気象だってな」

 雪合戦話に区切りを付けようとしたのか、遊龍はそう言ってまとめた。周囲もそれに納得だ。大陸の南に位置するこの場所で、雪がちらつくことだけでも珍しいのだ。積もることがないのは分かり切ったことだった。

「なんだか疲れたぁ」

 真鈴がそう言って、この話は終わった。



 ―――ただ、誰も考えていなかった。雪の降らぬ地方で降る雪の意味を。
 だから、次の日の朝、彼らはただ息を飲むだけであった。





  To Be Continued …?


+++++

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://saule495.blog82.fc2.com/tb.php/42-8eb813c0
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。