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「一夜の華」 

不意に肩に置かれた手
振り返らなくても分かる

あぁ、これが噂の…


「今晩は」
「…何者?」
「それはこちらの台詞ですね。真夜中に、一体何者です?」
「知らぬ振りを」
「食事ですか?」
「悪いか」
「生き血を吸うだなんて、趣味の悪い」
「それが我らの性だ」
「吸血鬼…ね」
「鬼などと呼ばれる謂れは無い」
「しかし、人間を襲います。それでは鬼と変わり無いでしょう」
「生きる糧としての捕食の何が悪い」
「人を襲うからです。人を襲えば、人の創る言葉で鬼と呼ばれるのは仕方の無いことでしょう」
「人間だって他の生き物を殺すだろう」
「そうですね。狩らねば自身が狩られます。食事も出来ません」
「だが鬼などと呼ばれていない」
「私には分かりませんよ。他の種族の事も、昔の人の創った言葉の真意も」
「偉そうな口を叩いてそれか」
「仕方ありませんよ」
「お前は可笑しな奴だ」
「褒め言葉として受け取らせて頂きます」
「褒めてなどいない」
「所で、吸血鬼殿は日頃からこんなに饒舌で?」
「まさか。獲物にわざわざ話し掛けるなど、無駄の極み」
「確かに。獲物を狩る時に話し掛けるというのは、相手に自身の存在を知らせる事となる。家畜の命を絶つ時に話し掛ければ、きっと同情の念が涌くのだろう」
「何が言いたい」
「貴女の矛盾点についてです」
「可笑しな奴だと言っただろう」
「それは私を見逃してくれると言うことで?」
「それとは話が別だ。話していて不快感が起きなかった。ただそれだけ」
「そうですか。同情の念は生まれませんでした?」
「同情する理由が無い」
「残念です。私には、貴女に対して多少の念が生まれました」
「生き血を吸わねば生きていけぬ我が身。恨まれて至極当然」
「苦しいですか?」
「まさか」
「解放して差し上げましょうか?」
「何から」
「ですから、苦しみ」
「ある訳無いさ。そんなもの」




グサリ ―――



深く突き刺さるは、
貴女の牙か、私の刃か。

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