「ある日の平凡な日常」 

TTSSじゃないけど書きたかったので書いてみたよSS。
ぽめらさん便利。QRコード読取り有り難いです(笑)

TTSSじゃないとタイトル考えようとするけど大体思いつかなくてむしろそこで時間食う日常。

[ Read more ]

「とある日の邂逅」 

+++++


静かに佇む男からは、邪気も何も感じなかった。邪気だけではない、一切の感情を感じない。
特に問題は無さそうだから放っておいてもいいよ。そう言っていたのはどこの誰だったか。
「どこがだよ」
舌を打ち、苦々しく顔を歪める。
どこからどう見ても"普通ではない"彼の様子に、上司の笑顔を思い切り殴り飛ばしたい衝動に駆られた。
ふわふわと漂う白の影が、ふるりと揺れている。
宥めるように長い黒の棒を振ると、ゆっくりと彼へと近付く。
「何を、している」
答えを期待して投げた言葉ではないが。
どうやら声はまだ届くらしい。
視線がこちらへと向けられ、固定される。表情は変わらず、無のまま。

「殺そうと思って」
たっぷりの間を置いて返された答えは、予想通り半分、予想外半分。
「僕を生かしている彼らを、」
予想外に、言葉が次々と降ってくる。
「殺したくて」
感情も、邪気も、敵意も殺意も何も感じない言葉が。
「消してしまいたくて」
浸食するように降り掛かる。
彼が武器も何も持っていない事は知っている。言葉も何の意味も為さない。
けれど、ざわざわと這い寄る気配は決して良いものではない。そう感じていた。

「神殺しだと分かってて言ってるのか」
「分かっていなかったら、とっくに殺してるよ」

――― コイツは、ヤバい。
なんて面倒臭い奴を押し付けやがったんだ、あの糞上司め。
吐き出したい溜息を堪え代わりに唾を飲み込み、目前の彼を睨み付ける。
とは言え、見逃す訳にはいかないのだ。
それがこの場所の規則<ルール>

白い影が、くるくると回り始めた。


+++++

ノータイトル 

+++++


カチッ ………ジー………
見慣れない物体と、それから発せられる聞き慣れない音に、首を傾げる。
黒い塊の先に付いたキラリと光を反射する丸いガラスが自分に向けられているような気がして、どうにも落ち着かない。
「あーホラホラ、横向かなーい。こっち向く、そして笑う!」
「見ず知らずの相手に笑えって言われても、ねえ。それに、それは何?」
指を差して答えを問うが、頭のどこかでは答えが返ってくる事を期待していなかった。
「さーあ、なんでしょう?いつか分かるかもね」
ケタケタと笑い声を上げて楽しそうな様子だがこちらは何一つ楽しくない。

ガチャッと音を立て、黒い塊の一部が開いた、ようだ。
そこから取り出されたのは、やはり用途の分からない黒い塊。当然、外身の塊よりは小さい。
「ハイこれ」
ぐいと押し付けられるままに小さい塊を受け取ってしまうと、酷く嬉しそうに目の前の人物は笑った。
「今は分からないだろうけど、多分いつか分かると思うから、それまで持っておくとイイよ」
くるりと周りながら笑うと、彼女の長いスカートと長い髪がぐるりと広がって揺れた。

意味が分からない。
そう言おうとした時には、もう後ろ姿が遠ざかっているところだった。
甲高い笑い声も次第に小さくなっていく。
残された不快感と黒い塊は、そう簡単にはなくならないような気がしていた。


+++++



なんつって。
ブログ書こうとした途端に降ってきたからメモついでに投げてみるてすと。

「あなたはだぁれ」 

+++++


 ひんやりとした空気の流れる夜。
 静寂な廊下を歩いていると、ふと人の気配を感じた。屋内で誰もいないはずのその場所で、しかし椏夢は臆することなく玄関扉へと続く土間へ目を向ける。思った通りそこには人が立っており、そしてその身体はぼんやりと朧気だった。
 けれど予想していなかったのは、もう一人の存在で。
 朧気な姿の少年とは対照的に、極々普通の人間のように佇む真っ黒な衣服に身を包んだ少女。長いコートで身を包み足下は見えないが、どこも透けているようには見えない。
 数度の瞬きを繰り返し、椏夢の視線は少女に固定される。すると少女の方も少し驚いたように目を軽く見開き、口を開き…かけたところで、別の足音が響いた。
「お客さんかい?」
 はっと椏夢が振り返ると、奥の部屋から丁度幸子が出てきたところだった。スッと歩き椏夢の隣に並ぶと、彼女の視線は朧気な姿の少年へと向けられた。
「おやおや、また迷子かい?ここにいたって独りだろう。早く行かなきゃいけないところに行きなさい」
 幸子の口調は柔らかく、けれど叱っているようで。少年は少しだけ淋しそうな顔をしたあと、それでもどこか嬉しそうに微笑み、幸子に一礼するとすっとその姿を消した。少年は椏夢の事を見ていなかったが、少年を見ていた椏夢を、少女はじっと見つめたままだった。
「迷い込んでくるお客さんはね、呼び止めちゃ駄目だよ。少しだけ話をして、満足して天国に行けるようにしてあげないと」
 優しく微笑みそう話す幸子は、少女に視線を向けようともしていない。人の存在を無視するような性格をしている幸子ではない。ここでようやく椏夢は気が付いた。幸子にはこの少女の事が見えていないのだと。
「どうかしたかい」
「…いいえ、なんでもないです」
 黙ったまま考え込んでいた椏夢の様子に幸子は首を傾げたが、椏夢はゆっくりと首を振った。
 ふと振り返ると、少女の姿はもうどこにもなかった。



「たまにいるの。私の事が見える人が」
 不思議そうに、だがどこか不機嫌そうな高い声が暗闇に響いた。パタパタと動き回る人影は少女に目も留めず足を止めない。
「死期が近い人なのかと思っていたけど、そうじゃないのね」
 少女の視線は部屋の奥へと注がれているが、その奥の様子は暗闇で何も見えない。少女にも見えてはいない。
「居るかもしれないね。ニンゲンはまだまだ分からない事だらけだから、何が起きても可笑しくない」
 姿は見えないが声だけは響いてきた。クスクスと笑い声の混じる声に、少女は少しだけムッとした。彼の言う事が、本当の事なのか偽りなのか、少女に区別を付ける事はできない。
「そう機嫌を損ねないで。次の仕事があるんだろう?」
「ある。だから空き時間に聞きに来たの、気になったから。でも答えは無いのね」
「何か分かったら教えてあげようか?」
「………、何か分かったら、ね」
 どうせ何も教えてくれないんでしょ。
 声には出さずに、少女はくるりと部屋に背を向けた。そして音もなく歩いて行く。
 終わる事のない仕事へ。


+++++

「いつか、会えたら」 

+++++


「七夕って、一年に一回だけオヒリメさんとヒコボシさんが会える日なんだって」
 空を見上げたままの光麗が、呟くようにそう言った。隣に座っていた涼潤は、彼女が何を言おうとしているのか分からずに首を傾げる。
 夜空には小さな星達が無数に煌めいている。落ちてきそうな程、と誰かが表現しているのを聞いた事があった。彼らが一斉に落ちたら、この辺り一帯には光のシャワーが降り注ぐのだろうか。光麗の言葉の続きを待ちながら、涼潤はぼんやりとそんな事を考えていた。
「お互いに大事な人同士なのに、会えなくなっちゃって。それで、一年に一回だけ会えるんだってお母さんに聞いたんだ」
 涼潤に話していると言うよりは、独り言に近いのかも知れない。吐き出したかった言葉を、そっとじわりと外に流しているような。そんな話しぶり。
「風じゃなくて?」
「うん。風さんは現実のことを教えてくれるけど、物語のことは知らないから」
「物語、なの?」
「うーん、どうなんだろう。本当かもしれないし、作り話なのかもしれないって、お母さんが言ってたの」
「そっかぁ」
 どこにでも昔話や言い伝え、伝説、そういった類のものはあるだろう。場所や人との繋がりによってそれは変わってくるのだろうが。涼潤は、オリヒメとヒコボシの話は聞いたことがなかった。

「大事な人と会えないって、辛いね」
 オリヒメとヒコボシがどういった間柄なのかは知らない。勝手な思い込みかも知れない、けれど聞き流せなくて。なんとなく、涼潤はそう呟いた。
 間が空いたまま返事はない。
 首を傾げられているのかと思い誤魔化すように笑って光麗の方を向くと、そこには少しだけハッとした表情の光麗がいた。その表情に、逆に涼潤が戸惑ってしまう。
「あっ、ごめん。変なこと言ったね」
「ううん。光も会えないのは、つらいもん」
 首をふるふると振り、少しだけ淋しそうな顔をして見せた。
「一年に一回だけでも会えるんだったら、我慢できるのかなぁ」
「…、一回会えちゃったら、あたしだったら次の日も会いたくなっちゃうな」
「なっちゃう!なっちゃうよね!オリヒメさん達すごいなぁ」

 そういう人がいるの?
 なんて聞けなかった。
 ただ、そういう人がいるんだ、と思っただけで。

「でもまぁ、一生会えないよりは、一回でもいいから会いたいなぁ」
「うん」
 頷いた光麗が、不意にクスクスと笑い出した。笑う理由が分からず、涼潤はきょとんとする。涼潤の様子に気付いた光麗は、申し訳なさそうに、けれどすぐににっこりと笑った。
「ごめんね。ちょっと、風さんが面白いこと教えてくれたから」
「面白いこと?」
「うん」
 返事のあともにこにことしている光麗から、話の続きを聞くことが出来ない。どうやら"内緒"の事のようだ。風の声が聞こえない涼潤には、話の内容を知る手立てはなかった。
「ずるいなぁ」
「えへへ」
 悪戯っこく笑う光麗に、涼潤もつられて笑うのだった。


 空には星、無数の願い。
 いつか叶うことを信じて、その日まで。


+++++

「喧嘩する程、っていう」 

+++++


 ふわりと、風に乗って空を漂うものがあった。
 どこからともなく声が聞こえたような気がして空を見上げるのと同時、光麗の目の前に一通の封筒が舞い降りる。ゆっくりと減速したそれは、差し出した光麗の両手の上にふんわりと乗り、そして動きを止めた。
 華美な飾りはないが簡素な落ち着き。丁寧に皺ひとつ無く封をされたそれは、開いてしまうのが勿体ないと思う程である。しかし光麗の元へと舞い降りたという事は、誰かが彼女へと送り届けたものだという事。読まずにいる方が先方に申し訳ないだろう。
 破いてしまわないよう注意を払いながら、ゆっくりと封を切る。


「…えぇっと…、…あぁ!」


 手紙を抱き締めるように胸に当て、光麗はくるくると回りながら笑っていた。小さい花でも周りに飛んでいるのではないかと思わせる程、その表情は明るい笑みに溢れている。風に話しかけてはくすくすと笑い、そしてまた風と共に回る。丁度通りかかった涼潤がぎょっとする程に、光麗は夢中になっていた。
「ど、どうしたの…」
「あっ、涼ちゃん!」
 いてもたってもいられず涼潤が声を掛けると、ふわりと髪を揺らし、まだ余韻を残したまま光麗は動きを止めてそちらに目を向けた。回るのを止めても、表情は変わらず嬉しそうに笑ったままだったし、それどころか、涼潤がやってきた事で更に目の輝きが増えているようでもある。腕に力をぎゅっと込め、手紙をしっかりと抱き締める。
「あのね、涼ちゃん。涼ちゃんは、遊と竜君のこと好き?」
「………は?」
 それはとても素っ頓狂な声だった。
 光麗の言葉の意図が掴めず、ぱちぱちと瞬きを繰り返す涼潤に、光麗の方も予想外だったのかきょとんと首を傾げる。双方共に言葉を発さず、しばらくの静寂が二人の周りを回った。そしてその間に、"当事者"達もやってくる。
「何してんだ二人とも」
 向かい合って立ちすくみ黙り込んだままの少女達を見掛け、遊龍は怪訝そうに声を掛ける。共にやってきたのではないだろうが、同じタイミングで現れた竜神は、何も言わずに三人の様子を伺っていた。こうして森に住む四人が一箇所に集まり。最初に動きを見せたのはやはり光麗だった。
「ちょうどよかったぁ!ね、二人は、お互いのこと好き?」


「「は?」」
 光麗がにっこりと笑って問い掛けると二人の声が重なり、そしてぴたりと空気が止まった。つい先程同じような事を問い掛けられたばかりの涼潤も、持ち直す間もなく再び言葉を失ってしまった。ただただ突拍子のない問いに、その真意が掴めない三人は光麗から何かしらの補足が得られることを待つだけである。しかし当の本人すら、そんな彼らの様子に首を傾げている始末。理由を聞いたところで、光麗の中にその答えはないのかも知れない。
 
「それは無い」
「絶対ない」
 暫しの間を置いて返されたのは、重なった二つの声。ピシッと言い切る二人は、お互いの声にお互いを向いた。
「「誰がこんな奴を」」
 イラッとした表情を隠さない遊龍は竜神を真正面から指差し、面倒臭そうに且つ嫌そうに眉を顰める竜神は遊龍を睨め付ける。途端に止まっていた空気が動き出し、同じようにきょとんと様子を伺っていたのであろう風も歩み出した。風がくるくると回り、遊龍と竜神の周りを回る。涼潤は深く溜息を溢し、対照的に光麗はにっこりと笑った。

 口論が炎と流水を引き起こし、やがて落雷が空を切り裂いても、光麗は嬉しそうにふわりと笑っていた。


+++++



ナグサ(@咲さん宅)からのお手紙お返事が嬉しくて!!つい。
咲さんの絵柄で漫画を妄想する程度には嬉しかったのでした←